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網野町の浦嶋伝説

説話や民話で有名な「浦嶋太郎」。
網野神社の御祭神である水江浦嶋子神もそのモデルの一人だと考えられております。
日本各地には、様々な浦嶋伝説が存在し、それらは少しづつ異なっています。
ここでは、網野町に古くより伝わる「浦嶋伝説」をご紹介いたします。


水江浦嶋子(みずのえのうらしまこ)

(網野町のうらしま太郎伝説)

 昔、銚子山古墳の地続きに日下部氏の屋敷がありました。日下部曽却善次(くさかべそきゃくぜんじ)夫婦には子供がなく、子宝に恵まれたいと百日祈願をしていました。満願の夜、夫婦は不思議に同じ夢を見ました。

 神から「二人の願いを聞き届けよう。明朝、福島へ来い」とのお告げです。翌朝、出かけると赤子が置かれており、夫婦は「嶋子(しまこ)」と名付け大切に育てました。

 釣り好きの若者に成長した嶋子は、澄の江での漁の時は釣った魚を一旦磯の「釣溜(つんだめ)」にビクのまま漬けておいたといいます。

 ある日、嶋子は福島で大変美しい娘に出会いました。乙姫様でした。二人は、夫婦の約束をし、小船で竜宮城へ行きました。手厚いもてなしを受け三年の月日が経ちました。

 嶋子は故郷が恋しくなり、帰ることになりました。乙姫様が「お別れに手箱を差し上げます。再びお出でくださる気持ちがあるなら、決して中をお開けなさいますな」と美しい玉くしげ(玉手箱)を手渡しました。

嶋子は懐かしい万畳浜へ帰ってきました。ところが、屋敷に着いてみると、雑草が茂って一面の荒野原に……。竜宮城での一年は、人間界の何十年にもなっていたのです。嶋子は悲しみ、途方に暮れました。その時、玉くしげのことを思い出し、これで数百年の昔に戻れるのではと箱の蓋を開けました。すると中から白い煙が立ち上り、嶋子はしわだらけのおじいさんに。驚いた嶋子は思わず自分の頬のしわをちぎって榎に投げつけました。その後、嶋子がどうなったかはわかりません。

(網野町資料から)